林賢太郎プロデュース『レンズ』


日時:2004年7月25日13:00〜
場所:大阪 シアター・ドラマシティー




やっぱり賢太郎氏の劇は最高!!
何をやっても面白い!過剰な期待にも、間違いなく、もれなく、素晴らしいまでにさらりと応えてくれる!
下記の文は、小林賢太郎氏が挨拶としてパンフに書いていた事。
うんうん。こんな感じこんな感じ(^^)賢太郎氏っぽい。

本日はKKP#4「レンズ」にお越し頂きまして、誠に有り難う御座居ます。突然ですが、次の八単語の中から、ひとつを自由に選んでみて下さい。

消費税  収穫  葬式  アルミ  筆  お箸  数珠  半紙

選びましたか?では今度は、その単語と関係あると思うものを、次の八単語から選んで下さい。

体育館  一円玉  グラタン  米  牛乳パック  墨汁  砂漠  喪服

はい、ありがとう御座居ます。選んだそれを強くイメージしてから、次に進みましょう。そのものの特徴を、次の八つの中から選んで下さい。

赤い  長い  小さい  明るい  広い  黒い  鋭い  速い

それでは最後に、その特徴に当てはまるものを次の八つの中から選んで下さい。

シマウマ  錦鯉  ヒマワリ  アリ  イルカ  柴犬  モミの木  カマキリ

選びましたか?何が選ばれたかは私には分かりませんが、もしかしたらこの紙の隅っこにそれがいるかも知れません。
この仕組みを「魔術師の選択」といいます。他にもやり方は多々あるらしいのですが、偶然や不思議な力による現象に見えても、実は仕組まれた出来事ということが世の中にはたくさんあるのです。
これがヒントになるかどうかは分かりませんが、とりあえずあなたも名探偵と一緒に、考える楽しさを味わって頂けたら、これ幸い。

私は、何をどう間違えたのか、苦し紛れにモミの木に行き着いてしまって。。(^^;)一般的にはやはりあれでしょうね。
この文の一番下に、パンフの隅っこにいたものを書いておきます。あなたは、どうでしたか?


『レンズ』は、椎名林檎の短編キネマDVD『百色眼鏡』を題材として書かれた劇。
『百色眼鏡』に賢太郎氏が探偵役として主演した事をきっかけとして、賢太郎氏自身が書き下ろした作品です。
前日に『百色眼鏡』DVDを観て予習予習♪やっぱりええなぁ。

劇は、『百色眼鏡』で登場した探偵(賢太郎氏)と刑事(大森氏)が初めて出会い、交流を始めるまでのお話。
曲はもちろん『茎〜大名遊ビ編〜』。曲も映像も最高!

登場シーンは、背景を影絵風に扱っていた。場所はカフェー。時代は。。明治?大正?
舞台には小説書き(といっても書生)の天城(賢太郎氏)がカフェの椅子に一人座っている。
そこへ、刑事(大森氏)が普通の客を装って相席を求めてくる。
周囲の客やウェイトレスは紙で、影絵になっていて、紙っぽさをあえて前面に出しているところが面白い(笑)
それにしても!随所にぜっつみょうな小技が効いている。。。賢太郎ワールド炸裂っっっ
“間”が好きです。むしろ間なんて無くても好きですが。
で、、普通の客を装っていたはずの刑事を、天城が簡単に刑事と見破ってしまう事によって話は始まる。
相席を求めてきた人が刑事であると瞬時に悟った天城は、図書館から無断で本を持ち出した事がばれて追ってきたのかと勘違いし、
床に頭をつけて必死で謝り始める。
しかし、刑事は図書館の本の事なんて知る由もなく、それよりも、何で自分が刑事である事をすぐに見破ったのかが分からない。
「何で刑事とわかったんだ?!」としつこく聞いてくる刑事に対して、さっさとその場を去りたい天城は、
大した事じゃないでしょ?といった風に理由を挙げていく(かなり説明不足気味に)。
「席は他にも空いてたのにわざわざ机を散らかしていた僕の席に相席を求めてきた」→入り口が見える席を選らんで座った
「靴が磨り減っている」「カバンを持っていない」→常日頃外で行動する人であり、カバン無しという事はサラリーマンではない。
「上着を脱がなかった」→大切な警察手帳が入っている。財布は座る時にズボンのポケットに移動していたから違う
「ポットの中身を確かめた」→常連ではない
等々。。。。こんな事、見たらすぐわかるでしょ?と説明するのが面倒くさそうに話す。
まぁ、その話すテンポ(掛け合い)の小気味よさったら!う〜ん。完璧★途中、「座れ(椅子に)!」の笑いネタもふんだんに取り入れつつ(笑)。
見事な推理なのに、当たり前の見解でしょ?と平然とする天城に刑事は舌を巻く。
で、成り行きで刑事が天城の小説原稿を読むのだが、題名といい、内容といい、かなりイマイチ(才能無し)。
天城も、もうその原稿はいらないから「なげておいてくれ」と言い、去る。
この、「なげておいてくれ」が、最終シーンの刑事の推理に関わってこようとは、ハラショー!!である。
「なげる」は北海道弁で「すてる」。
つまり、天城の故郷は北海道。片道切符しか持っていなかったから、もう小説を諦めて田舎に帰ろうとしている所だった。
と、そこまで推理する刑事さん、なかなかやる〜。というか、つまりは脚本書いた賢太郎氏がすごいんですが。

はて。ここまで書いて、↑
このまま続けたら劇の内容全部書ききるまで終わらん。。。と思った(^^;
まだ序幕の部分なんですが(笑)
細かいところまで面白く、しかもその魅力は文章では表現し難い。
ので、序幕だけで終了(ヲイ)。いいんです。とにかくいいんです。

でもこれだけは!!というのは劇の内容とは別に、帽子!帽子!
帽子をシュタッと投げて帽子掛けに掛けるシーンで、なんと賢太郎氏が見事成功!
狙ってもできないですよ普通!感涙ものでした。
さらに、アンコールで大森さんと久ヶ沢さんまでもが連続成功!(その後賢太郎氏も挑戦したが失敗/笑)
アンコール、千秋楽という事で役者紹介があり、一人ひとりめっちゃ面白かった。
何とかわーっと客席が盛り上がったところで終わりに持って行きたい賢太郎氏が、
客席に「いぇ〜〜ぃ」とか言うと、客席も「いぇ〜〜ぃ」と返し、驚いていました(笑)返ってくるとは思ってもいなかったらしい。
はぁぁぁ。面白かった。最後は、スタンディングオーベーション!観客総立ち!立たなきゃいられない!
さらに、最後の最後、去り際に、
「あ、外は雨が降ってますのでお気をつけて」という風な事を賢太郎氏が言い、
皆、えっ嘘?!そんな予報なかったし?と驚いていたら、賢太郎氏「うそです(笑)」と。
してやったり♪って感じ。流石は賢太郎氏らしい終わり方だ。と思って会場(地下会場)を出ると、
なっんとお天気雨!! はっ?! 嘘っ! 本当に降ってきた!!
しかも会場を出たその瞬間のみ。。。呆気に取られたというか、開いた口が塞がらない。
ありえないでしょう。お天気雨。何か憑いてる!
って、やはり劇に出てきた図書館創設者の髭じいさんでしょうね。

劇後、『百色眼鏡』を見直すと、かなり楽しい。
劇のその後がそのまま映像になっている。天城が刑事に貰ったブーツもちゃ〜んと履いてます♪
逆に、DVDで観ていた時の謎も少し解け。
あぁ、続編を書いてはくださらぬか賢太郎氏?と切実に願います。

パンフの隅っこにいたもの→アリ
【メモ】
ゴキブリ一匹の後ろには。。、金髪女性の背の高さ(倍の倍の倍。。→普通)、身体検査と汗拭き、手錠に掛けられる
蟻は体重の700倍もの重量を背負える。本を盗んだのは白蟻だ!重さを計算して集団で。。→レンガだし。砂糖を塗ったのは誰だ?
憑かれた真似をする天城。本は、実は他の本棚に移し変えされていた。普通、西日の当たる側に本棚は作らない。
椅子の綿がそれぞれ均一でない→髭用。ラップ音→縄を時計の針にかける。探偵は、前払いを約束して了承。